雪に閉された森で、雪中キャンプに興じる
大寒を過ぎ冬本番といったところだが、今季はまだ雪を見ていない。
ジムニーで行くスノートレックや、極寒のキャンプを楽しんでみた。
![男の車中泊一人旅[ VOL.36 長野・立科 ]](https://jimnyplus.net/wp-content/uploads/2025/02/YK1R4383-1024x682.avif)
■ SPECIAL THANKS
姫木平ホワイトバーチキャンプフィールド
https://whitebirch-himeki.com/
PHOTO&TEXT / 山岡和正
スノーキャンプは楽しい。
零下の中で凍え、装備は濡れ、何をするにも通常のキャンプよりひと手間かかってしまう酷寒キャンプ。しかし、自然が象った雪の造形物や小動物の足跡、ウインドウに現れる氷の結晶など普段見ることができないシーンにたくさん出会えるのである。
そこで重要となってくるのが場所の選定であるが、これがなかなか難しい。白銀のフィールドで思い切りキャンプしたいのは山々だが、雪が多すぎると森に入って行けないし、少ないとただ寒いだけの普通のキャンプと同じだ。
リサーチしてみても、雪質や量などリアルな雪の情報は現地に行ってみないと分からないというのが実情なのだ。
とはいえ、ずっと地図を眺めていても仕方が無い。とりあえず長野県の小諸市から立科あたりを漠然と目標に決めて、後は行き当たりばったり的に狙いの雪を探しながら彷徨ってみることにした。
上信越道を走り小諸市エリアに入った時点では、周辺に雪は無かった。遠くに見える八ヶ岳や、微かに噴煙を上げる浅間山は銀嶺の装いを見せているが平地を見る限りは普段の街並みだ。
空を見上げれば厚い雲が覆っているし、雪があるのかどうかも怪しい。気分は最悪だが、とりあえず林道に入り高度を上げてみれば何とかなるかもしれないと、街を離れて山の中へと入って行った。
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雪はいつもの林道を
さらに楽しいフィールドへ
林道を進み高度が1000mを越えたあたりから、少しずつ雪が現れ始めた。麓での心配をよそに、雪の量はコーナーを抜ける度に増えてくる。山の北斜面では割と深い場所も出現してきたが、今回の相棒であるJB64はマッドテレーン寄りのスタッドレスを履いているので、雪を掻きながらぐいぐいと頼もしく進んでくれる。
メインのルートは新雪が積もっているが、数日前に車が通ったようなタイヤ痕がうっすらと見える。それに比べて支線と思しき道は雪で覆い隠され、雪原の様相である。
国土地理院の地図では明確に道が記されているし、道の痕跡はあるのでリスクを承知で少しだけ新雪の森の中を走ってみようと思う。雪の深さは10~15㎝くらいだろうか、装着しているスタッドレスで問題はないと思うが、何分ひとりなので危険回避のために装備していた新型のチェーンを巻いた。
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リスクヘッジ的な装備が大活躍
スタッドレスは装着済みで、タイヤチェーンが必要なヘビーな場所へ行くつもりもなかったのだが、一応持って行って正解だった。ひとり旅はリスクが高いので十分な装備で臨みたい。
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雪が無い場所で気を許していたら、崖崩れに遭遇した。鋭利な石はバーストの危険があるので注意しながら走る。
やはりチェーンの効果は絶大で、がっちりと地面をとらえ進んで行く。積もった雪をパウダースノーに変えながら、白い林の隙間を縫ってゆっくりと走る。その時、そのアドベンチャーな気分は最高潮に達していたと言ってもいいだろう。
森を抜けると眼下に集落が見えた。このまま行くと麓の県道に出そうなので、引き返してメインルートに戻った。
山の中腹をトラバースしながら進み、林道わきの広場で小休止する。ふと温度計を見るとマイナス4度の表示。まだ14時半だというのに、寒すぎる。
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凍える場所でアイスコーヒー
氷点下の珈琲タイム。バーナーでお湯を沸かしてドリップする。冷えた体に流し込み、体を芯から温めてくれる珈琲はこの旅に欠かせないものだが、荷物の整理をしている数分のうちに凍り付いていた。
これ以上寒くなる前にと、急いで野営地へと向かった。
白樺に囲まれた静かで美しいキャンプサイトには時折小鳥の声が聞こえ、スノーキャンプには最適の空間だった。
寝床の準備を整えて、簡単な夕食を済ませる。極寒の中で焚火を熾す気力はなく、そそくさと寝袋の中へと逃げ込んで、そのまま眠りについた。
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寒さで車外にはいられないが、テントとは違い車内はそれほど寒くない。最近売られている「貼るカイロ」が優秀で、いくつか寝袋に仕込めば朝まで快適に眠ることができる。
翌朝、眩い陽の光に照らされて目を覚ます。車外に出ると、輝く宝石のようなダイヤモンドダストが宙を舞い、キラキラと森全体を包んでいた。
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PickUp!! ここに来たら必ず食す絶品2品
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霧ヶ峰にあるコロボックルヒュッテの「ボルシチ」と、佐久市の鳥忠食堂で味合う「むしり定食」はおすすめの品。至高の味と呼びたい。
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